追記|「個人的に」って言ってもいいよ

昨日の記事の追記。

eudaimon-richo.hatenablog.jp

 


 

昨日、やたらと攻撃的なタイトル(「議論してるときに「個人的に」って言うな」)で、「個人的に」という表現について思うところを述べたが、まあ、特段間違ったことは言っていないのではないかと思う。が、三点ほど補足を。

第一に、私が主張したいのは、〈「個人的に」という言葉を使用する際に引き受けるべきコミットメントを引き受けろ〉ということであって、〈「個人的に」という言葉を一切使うな〉ということではではない。言葉には使うべき場所があり、使うべき場所でない場所で使えば、不適切になったり不正になったりする——ただそれだけのことである。

第二に、「議論してるときに」の「議論」がどこまでを指すのかは実際のところはっきりしていないし、はっきり書いてもいない。一口に議論と言っても、学会発表の質疑応答くらいフォーマルな議論であるか、読書会や指導教員との面談における幾分カジュアルな議論であるかによって、「個人的に」という言い方が有害になるか無害になるか(どれだけ有害・無害になるか)は変わってくるだろう。

第三に、私は議論の場で「個人的に」という言葉を使われても、その場で「で? あなたがそう思っているだけでしょ?」という応答はしないし、したこともない。安心してほしい。議論の場で私が目指していることは、議論が全体としてより良い方向に進展することであり、「で?」という応答は、その目的に全く貢献しない。つまり、「個人的に……」と表明された意見であっても、私は相手が何かをその意見に賭けていると見なして、その意見を吟味する。ただし、無意識のうちに、そして癖のように「個人的に……」と意見を述べる人に対しては、そのように自動的に、考えもなく、乱暴に言葉を使うことは、その言葉の本来の機能を発揮すべきときに発揮できなくなってしまうことがあるから、やめてほしい——そう思っているのである。*1

*1:2023/09/12(Tue.)の日記から転載

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