次の論文を(少々詳しめに)まとめました。
Riggle, N. (2020) “Transformative Expression” in Lambert, E. & J. Schwenkler (eds.) Becoming Someone New: Essays on Transformative Experience, Choice, and Change, OUP, pp. 162-81.
こちらのNotionのリンクからご覧ください。
論文について
先月と今月、変容的経験*1についての論文集、Lambert, E. & J. Schwenkler (eds.) (2020) Becoming Someone Newを扱う某🧛♂️研究会に参加しました。
私の担当した第9章「変容的表現」には、多くの論点が盛り込まれています。例えば、自己表現に関わるパラドックスの解決、変容的表現の定義、形式主義でも快楽主義でもカバーできない美の説明、などなど。ただ正直にいうと、欲張りすぎでそれぞれの議論が中途半端になっているのでは、と私自身あまり面白がれなかったので、発表資料を公開するのはやめておいたのでした。
ただその後別の某会で、「分析系の研究者が参加型アートにも言及している論文として珍しく、その点でまとめを公開することには意義があるのでは」と背中を押していただいたので、公開することにしました。(先に申し上げたように、論点が多いので、レジュメをざっと見てから本文に進むのもよいと思います。)
2021年も面白い論文があったら継続的に共有していこうと思います。それではよいお年を。
補足等
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— 迅亮 (@eudaimon_richo) 2020年12月31日
Riggle, N. (2020), "Transformative Expression"まとめ - エウダイモンな李徴 https://t.co/x18DrYVVWb
参加型アートの意義を変容的経験の観点から捉えるのはなるほどと思わせられるし、美的価値の理論につなげるところもよくて、現代アートと現代美学の一つの交流の試みとして個人的に好感がもてる
— Masahiro Murayama (@Aizilo) 2021年1月1日
タイトルから内容がわかりづらいけど、transformative expressionというのはもののの見かたが変わります(はっとします)系の芸術作品のことで、それの定義とそれが美的価値を持つと言える理由を論じた論文のまとめ https://t.co/h95Xww6umi https://t.co/uRuQjfxDYT
— matsunaga (@zmzizm) 2021年1月1日
後半はプレイ・マターズ5章と同じ主題ですね。なんでものの見かたを変えることが「美」とか「美的」とか呼ばれてるのか訳しててわからなかったが、おおよそこういうことなんだろうと納得した(参加型アートをおしてる人たちは無関心性という概念を受け入れそうにないけど)
— matsunaga (@zmzizm) 2021年1月1日
このtransformative(個人を変容させるような)っていう意味、ファン研究で使うtransformative(オリジナル作品を変容させて新しくする)と相当に違いますね。気をつけねば。 / “Notion – The all-in-one workspace for your notes, tasks, wikis, and databases.” https://t.co/1nVtOTdOCf
— saebou (@Cristoforou) 2021年1月2日
*1:L・A・ポールが『今夜ヴァンパイアになる前に―分析的実存哲学入門―』において提唱しましたが、そもそもこの著作の原題はTransformative Experienceでした。